【ガーデニングと3Dモデリング 】#3-鉢カバーをつくろう

【連載第3回】鉢カバーをつくろう(レンダリングでの比較)

ライター:Jay Hirano

今回は「鉢カバー」をモデリングしていきます。通常の試作であれば、形状をいくつかプリントして検討するところですが、今回は時間のかかるプリントになることが予想されるため、レンダリングを使って事前に比較をおこない、材料と時間を節約しながら試作していきます。レンダリングで複数の形状やデザインを素早く確認することで、鉢カバーの完成形を効率的に検討していきましょう。

レンダリングは実物の精度に劣るものの、低コストかつ迅速に試作品を確認できるため、デザイン検討において強力なツールです。

 

【連載予定記事】
#1 スコップをつくろう
#2 植物のタグをつくろう
#3 鉢カバーをつくろう◀本記事
#4 鉢の受け皿をつくろう
#5 植木鉢をつくろう
#6 水差しをつくろう
#7 植物の曲げに3Dプリントで挑む
#8 植え替えグッズをつくろう
and more…

目次

ステップ1:レンダリングで基本形状を確認

まずは鉢カバーの基本形状をいくつか作成し、レンダリングでサイズや見た目のバランスを確認します。レンダリングは試作よりもコストや時間がかからず、複数パターンの形状を素早く検討できるため、プリント前のデザイン調整に非常に便利です。

  • レンダリングでの確認:円柱型の鉢カバーを数種類作成し、高さや直径、厚みの異なるバリエーションをレンダリングします。素材感や光の反射も設定することで、最終的な見た目のイメージを掴みやすくなります。
  • デザインの方向性を絞る:複数のレンダリング結果を比較し、サイズ感やバランスをみてデザインを1つ選びます。

ステップ2:別の形状にチャレンジする

次に、基本の円柱型から少し発展させたデザインに挑戦します。異なる形状でレンダリングを行い、インテリアとしての見栄えや個性を試してみます。

  • 多角形や曲面デザイン:鉢カバーの輪郭を多角形や曲面に変更し、独自性のある形状を試します。例えば、八角形の形状や上部を広げたフォルムにして、ユニークな印象に仕上げます。
  • レンダリングで比較:新しい形状もレンダリングを行い、基本形状との違いや雰囲気を確認します。植える植物とのバランスや置き場所に応じて、どの形が適しているかを視覚的に検討できます。

ステップ3:デザイン要素を追加して検証

次に、選定した形状に装飾や通気性を加味したデザイン要素を取り入れ、最終的なカタチを完成に近づけます。

  • 通気性や排水性を考慮した要素:植物の生育に配慮し、通気性を意識した模様や穴を入れたデザインを検討します。装飾性だけでなく、鉢カバーの機能性も向上させるよう意識します。
  • 3Dプリント確認:今回は3Dプリントで作成するため、サポート材の必要性や細かすぎる部分がないか、必要なサイズにデータの縮尺が合っているかなど「計測ツール」も活用しつつ検討をします。

ステップ4:実際にプリントしてみる

出来上がった3DモデルはSTL形式でエクスポートし、実際にプリントしてみます。
事前に「計測ツール」を活用したり、設計図を用意した上で3DCADに落とし込むなどで失敗のリスクは下げられますが、まずは実践し沢山の失敗を経験してみることもいいでしょう。論より証拠。やった奴が偉いの精神です。

まとめ

今回はレンダリングも活用しながら、鉢カバーの基本形状、少し複雑な形状、プラスの要素を組み合わせて検討をしてみました。複数の比較が必要なアイテムでも、並べてレンダリングすることでを効率的に比較検討ができます。また提案資料などに手描きのスケッチだけでなくスクリーンショットやキャプチャ画像を盛り込むことで認識の齟齬が減り、伝わりやすい提案になるのではないでしょうか。

無理に使うことはありませんが、検討を進める上での手札に加えられるといいかなと思います。


Kyoto Makers Garageは、モノづくりに興味があるすべての人々に開かれた場所です。専門的な知識がなくても、スタッフのサポートを受けながらさまざまなプロジェクトに挑戦できます。3Dプリンターやレーザーカッターなどを使ったモノづくりを一緒に楽しみましょう!

3Dプリントに関する疑問や質問があれば、ぜひSNSやお問合せからお知らせください。また、あなたの作ったモデルをシェアして、他の読者とも作品を共有してみてはいかがでしょうか。

練習のお題(FUSIONのモデリング)

最初の一歩を踏み出すために、3Dモデリングの題材をつくってみました。
ひとつふたつとやっているうちに新しい世界が開けてくるはず。
下のヒントも見ながら作ってみてください。

回転体

「検査>断面解析」で作成した形状の断面を一時的に確認することができます。

解法1
・スケッチ作成(円)
・押し出し(テーパー)
・スケッチ作成(円)
・押し出し(テーパー)

・シェルツール

解法2
・スケッチ作成(円)
・構築(オフセット平面)作成
・スケッチ作成(円)
・ロフト

・シェルツール

解法3
・スケッチ作成(多角形)
・回転

・シェルツール

rotaed

解法1
・スケッチ作成(中心軸になる直線と輪郭線)
・回転

・シェルツール

解法2
・スケッチ作成(中心軸になる直線と輪郭線)
・スケッチ作成(オフセット)
・回転

【連載予定記事・バックナンバー】

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#5 植木鉢をつくろう
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